2025.12.11.
【CO₂削減45%】地方発GXモデル ──岡山の環境ベンチャー「次の灯」が挑む “循環産業の再設計”
廃棄を資源へ。現場から変える、環境×産業×雇用の新しい循環モデル
廃棄されてきたディーゼル排気を“資源”として再生する取り組みが、地方から広がっています。
岡山発の環境ベンチャー「次の灯株式会社」は、創業以来8年間にわたりリビルト技術の社会実装を進め、CO₂排出量を最大45%削減する成果を確立しました。
同社は、ディーゼル車の排気を浄化する装置「DPF(ディーゼル微粒子フィルター)」を再資源化し、廃棄部品を再び流通可能な製品として蘇らせる“循環型リビルトシステム”を構築。
これまで使い捨てられてきた部品を「資源」として再び経済の輪に戻すことで、環境負荷の低減と産業効率の向上を両立させています。
この取り組みは、環境分野だけでなく整備・物流・製造といった現場産業全体の生産性にも波及しており、地方での雇用創出にも貢献しています。
「技術で終わらせず、仕組みを変える」──そんな発想が、今、地方の現場から社会を動かし始めています。
モノの再生から「仕組みの再生」へ
同社の取り組みは単なる技術革新に留まりません。
廃棄や使い捨てを前提とした産業構造を見直し、再資源化・物流・人材育成を組み合わせた地域発の循環産業モデルを実装。
これは、環境・雇用・教育・地域経済を一体で循環させる“仕組みの再生”とも言えます。
特に近年は、自治体や大学との連携を通じて、地域循環圏の構築やカーボンニュートラル政策との整合を進めています。
企業単体の成果ではなく、「地域を単位とした社会実験」として機能しており、
国の掲げるグリーントランスフォーメーション(GX)推進や地域脱炭素ロードマップとも高い親和性を持っています。
こうした実践は、“地方から始まる環境産業政策モデル”として、国・行政・研究機関からの注目も高まっています。

現場起点の課題発見から生まれた事業
創業者・黒川聖馬氏がこの事業を始めたきっかけは、地域の自動車リサイクル業者から受けた1件のホームページ制作依頼でした。
依頼主との連絡が途絶えた後もサイトには多くの問い合わせが寄せられ、「部品をどこに頼めばいいかわからない」という声が相次いだことで、
黒川氏は、“技術の欠如ではなく、仕組みの断絶こそが課題”と気づき、現場から循環構造を設計する挑戦を始めました。
地方から社会構造を変える
現在、同社は自動車部品のリビルト事業を中核に、
燃料添加剤販売、整備士派遣、EVバッテリー再資源化など、
環境と人の双方を循環させる多角的事業展開を進めています。
地方発の中小企業が、産業構造の上流から循環を再設計するこの取り組みは、
地域経済の自立・雇用創出・脱炭素社会の実現に資する公共的価値の高いモデルです。
今後の展望、循環型テクノロジーの世界展開へ
同社は現在、東南アジア・欧州市場でのテスト販売を開始。
ハイブリッドバッテリーや触媒、レアメタル再生技術への応用も進めています。
さらに、CO₂排出削減効果を可視化する独自の「CO₂スコアリングシステム」を2026年にリリース予定。
岡山から世界へ、“循環型テクノロジー”の社会実装を加速させていきます。
■会社概要
社名:次の灯株式会社
設立:2018年7月
事業内容:
○リサイクル事業
○ケミカル事業
○整備士紹介・派遣事業
○トラックカスタム事業
○メディア事業
所在地:
○本社:岡山県総社市真壁1448‑1
(新オフィスへ移転予定:2025年11月)
○品川オフィス:開設準備中(2025年10月予定)
従業員数:
36名(パート・アルバイト含む)/71名(グループ全体)